司法省は関税回避と関税詐欺を注視

米国連邦弁護士協会の直近クイタム年次会議において、DOJ(米国司法省)は、積極的にFCA(虚偽請求取締法)の調査を進め、関税詐欺対策と取締りに重点を置くことを発表しました。トランプ大統領政権下で相次いで発表されている新たな関税の導入と、FCAによる関税回避の取締りに重点を置く司法省の意向を踏まえ、米国の輸入業者は、これまで以上にCBP(米国税関・国境警備局)の法規順守を意識して業務を行う必要があります。
従来の関税執行
従来より、米国で正式に活動する輸入者にはCBPへの関税支払い義務が課せられていました。関税の支払いが過少な場合、CBPの主な法的権限は、19 U.S.C. § 1592に基づく執行となります。この法令は、CBPに過少納付関税の徴収を認めるだけでなく、輸入者の責任の度合いにより、過少納付額の2倍から商品の国内価格までの範囲で課徴金を課す権限も与えています。民間人はCBPに税関違反の申し立てを行うことができますが(例えば、CBPの電子申し立てポータル経由)、U.S.C. 1592に基づく強制措置はCBPのみが開始できます。
FCAの仕組み
19 U.S.C. 1592条とは異なり、米国政府および内部告発者として行動する民間当事者は、関税回避を行った輸入業者に対してFCAに基づく訴訟を起こすことができます。連邦法では、政府への支払いまたは送金義務に関わる虚偽の記録または申告を故意に作成・使用した、または作成・使用させた個人、企業、あるいは、政府への金銭の支払いまたは送金義務を故意に隠匿、不適切に回避、減少させた個人または企業は、FCAに違反したとみなされます。このような請求は一般的に逆偽請求(reverse false claims)と呼ばれています。
原告および司法省はこれまでにも、FCAに基づき、関税や輸入税の過少納付による逆偽請求として個人または企業を調査しています。
純粋な過失やミスはFCAの対象外として認められることがあります。輸入関税の過少納付が逆偽請求とされるには、意図的であることが必要とされ、つまり、過少納付を行った個人または企業が、過少納付であるという主観的な認識を持っている、または意図的に義務を無視している、或いは無謀に義務を無視していることを意味します。逆偽請求の認識基準に関しては、当初の過少納付が故意でなく過失であったとしても、個人または企業が過少納付を知りながら是正措置を取らない場合には、逆偽請求と見なされる可能性があります。
関税詐欺容疑の標的
輸入業者は、最近の司法省のコメントから、CBPに対する関税額および原産国の誤申告がトランプ政権下におけるFCA調査の重点分野となることを想定しておくべきといえます。
関税額は課税対象額に適用税率を乗じて算出されるため、課税対象額は関税に影響を与えます。例えば、海外の関連メーカーや関連サプライヤーから輸入する輸入業者は、取締りの対象となる可能性が高いと考えられます。関連当事者間の輸入取引は、一定の条件を満たさない場合、取引価格の申告がCBPに認められない可能性があるため、より厳しい精査の対象とされます。
原産国は関税に直接影響します。現在、中国製品のほとんどは、追加関税率45%(セクション301に基づく25%とIEEPAに基づく20%の合計)の対象となっています。中国国外で製造された製品であっても、中国原産の材料が「実質的に加工」されていない場合、追加関税率45%の対象となる可能性があります。
したがって、適切な原産地規則を満たさずに製造が中国国外に移転された場合などをはじめ、輸入者が商品の原産国を誤申告したことによる関税回避の事例が今後増えることは確実視されています。
価値と原産地の虚偽申告は、今後4年間に発生するFCA関税詐欺のほんの一例に過ぎません。関税分類の誤り等、コンプライアンス違反につながり、FCA事例の引き金となるリスクは他にもあるでしょう。同様に、民間訴訟原告が、評価額、原産地、分類違反に関する内部告発に狙いを定めることも予想されます。
CBPの規制だけでなく、FCAに基づく取締りの増加も予想される中、輸入業者は、過去の関税措置だけでなく、現政権下で新たに課された関税措置に関連するリスクを考慮し、最新かつ強固なポリシーと手順を確保する必要があります。
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